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カメラを構える女性
機材ミニマム

賢いレンズの選び方

レンズ選びの泥沼(レンズ沼)にハマる人は多いが、その大半は消費としての買い物をしてしまっている。

クリエイターにとって、レンズ購入は消費ではなく資産の変換であるべきだ。

現金という資産を、ガラスと金属の塊に変える。
その視点を持つだけで、選び方は劇的に変わる。

スペック表の端から端まで眺める前に、まずはそのレンズが将来的に自分に何をもたらすか。

金銭的リターンと表現的リターンの両面から冷静に計算する必要がある。

今回は、僕が実践している損をしない、いや、得をするための賢いレンズ選びのロジックを共有しよう。

実質コストで計算するクセをつけろ

多くの人は、値札に書かれた販売価格だけで高いか安いかを判断する。

だが、これは素人の買い物だ。

賢い買い方は、購入価格と売却予想価格の差額、つまり実質コストで判断することだ。

例えば、市場価格25万円の高級レンズと、5万円のサードパーティ製便利ズームがあったとする。

25万円は高いと感じるかもしれない。
しかし、人気のある純正高級レンズは値崩れしにくい。

1年使い倒しても、22万円で売れることがザラにある。

この場合、実質コストは3万円だ。

一方で、5万円の便利ズームはどうだろう。
需要が少なく、供給過多なモデルは、中古市場での価値が暴落しやすい。

1年後には1万円でも買い手がつかないかもしれない。

この場合、実質コストは4万円だ。

結果として、初期投資が高いはずの高級レンズのほうが、トータルの出費は安く済み、その上、使用期間中は最高画質を享受できる。

これが資産価値で選ぶという意味だ。

安物買いの銭失いにならないためには、リセールバリューが高いブランド力のあるレンズを狙うのが、最も経済合理性の高い選択なのだ。

便利さを買うな、個性を買え

次に機能面の話をしよう。
初心者はついこれ一本で何でも撮れるという高倍率ズームや標準ズームに手を出しがちだ。

だが、クリエイターとしての成長、そして資産価値の観点からは推奨しない。

便利というのは、裏を返せば退屈ということだ。
全てが平均点で、欠点もない代わりに突出した魅力もない。

そうしたレンズで撮った写真は、誰が撮っても同じような写りになる。

また、代替可能な製品は市場価値も下がりやすい。

僕が推奨するのは、単焦点レンズや、強烈な個性を持ったレンズを買うことだ。

F1.2のボケ味逆光時のフレアの美しさ周辺減光のドラマチックさ。

そのレンズでしか描けない代替不可能な個性を持つ機材は、長く愛せるし、市場でもカルト的な人気を維持し続ける。

不便かもしれないが、その不便さが自分の足を動かし、構図を工夫させる。

結果として、ポートフォリオに残る強い写真は、いつだって不便で個性的なレンズから生まれるのだ。

所有とレンタルの境界線を引く

賢いレンズ選びの最終段階は、そもそも買う必要があるか?という問いだ。

使用頻度が月に1回以下のレンズ、例えば運動会用の超望遠や集合写真用の超広角などは、買う必要がない。

所有していても防湿庫の肥やしになるだけで、資産効率が極めて悪い。

現代には優秀な機材レンタルサービスが無数にある。

年に数回しか使わない特殊なレンズは、必要な時だけ最新モデルをレンタルすればいい。

逆に、所有すべきなのは自分のスタイルの核となるレンズだ。

日常的に使う相棒は資産として所有し、スポットで必要な道具は経費でレンタルする。

このポートフォリオのバランス感覚を持つことが、機材貧乏にならずに常に最新の表現を追求するための鍵だ。

レンズは資産。
感情だけでポチる前に、一度電卓を叩いてみてほしい。

そのレンズは、あなたの懐と感性の両方を豊かにしてくれるだろうか。