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カメラと機材
機材ミニマム

中古機材を活用するコツ

新品の箱を開ける瞬間の高揚感は否定しない。

だが、封を切った瞬間に資産価値が2割下がる事実直視できているだろうか。

予算が潤沢にあるなら構わない。
しかし、限られたリソースで最大の結果を出したいなら、新品への執着は捨てるべきだ。

僕たちが必要なのは所有する喜びではなく、撮れる画だ。

中古市場は、単なる型落ち品の墓場ではない。
宝の山であり、機材運用の最適解がそこにある。

今回は、失敗しない中古機材の歩き方と、その活用マインドについて共有しよう。

中古購入はデポジット付きの長期レンタルである

中古機材を買うことに抵抗がある人は、それを購入と捉えすぎている。

僕は中古機材をデポジットを払って借りるレンタルだと解釈している。

例えば、人気の中古レンズを10万円で買ったとする。
半年間ガッツリ使って、もし自分に合わなければ、あるいは飽きたら、それを売却する。

相場が安定しているモデルなら、買取価格は8万円〜9万円程度つくことが多い。

つまり、差額の1万円〜2万円が、半年間のレンタル料だ。

月額換算すれば数千円。

これでハイエンドな機材が手元にある環境が手に入るなら、タダ同然と言ってもいい。

新品でこれをやろうとすると、購入額と売却額の差が大きすぎて痛手になる。

すでに価格の償却が済んでいる中古品だからこそ、この疑似レンタルのサイクルが成立するのだ。

合わなければ売ればいい。

この身軽さが、様々な機材を試し、自分のスタイルを模索するスピードを劇的に上げてくれる。

外装の傷は勲章、見るべきはガラスの奥底だけ

では、どのような個体を選ぶべきか。

ここでコレクター視点とクリエイター視点の違いが出る。

コレクターは外装の美しさを求めるが、僕たちは実用性を求める。

狙い目は、ショップの評価で並品(Bランク)とされる個体だ。

外装にスレや塗装剥がれがあるだけで、価格は美品より数万円安くなる。

だが、その傷は写真に写るだろうか。

写るのはレンズを通った光だけだ。

塗装が剥げているということは、前のオーナーがそれだけ現場で使い込んだ証拠であり、動作に関しては信頼性が高い場合も多い。

外装の傷は、現場をくぐり抜けてきた勲章であり、値引きの理由にすぎない。

見るべきはただ一点、光学系(ガラス)だ。

カビ、クモリ、バルサム切れ。

これらは画質に直結する致命傷なので、絶対に避ける。

逆に言えば、ガラスさえクリアで、AFモーターが正常に動くなら、鏡筒がどれだけ傷だらけでも構わない。

見た目を捨てて機能を取る。

割り切りができるようになると、機材調達のコストパフォーマンスは飛躍的に向上する。

個人売買のギャンブルではなく、専門店という保険を買う

最後に、どこで買うかという問題だ。

フリマアプリやネットオークションは確かに安い。

だが、僕は絶対に手を出さない。
嘘とリスクが潜んでいるからだ。

素人目には綺麗ですという言葉ほど信用できないものはない。

届いてみたら絞り羽根が粘っていたり、片ボケしていたりするリスクがある。

そのトラブル対応に時間を奪われるのは、クリエイターにとって最大の損失だ。

だからこそ、多少高くても必ずカメラ専門店の中古を選ぶ。

専門店にはプロの検品があり、万が一の初期不良に対する保証期間(2週間〜半年程度)がついている。

この安心感は、単なるサービスではなく保険だ。

仕事道具として使う以上、明日壊れるかもしれない機材に投資はできない。

トラブルを未然に防ぎ、届いた瞬間から制作に没頭できる環境を買う。

そのための手数料だと思えば、専門店のマージンは決して高くない。

中古機材を活用することは、決して妥協ではない。

浮いた予算で撮影旅行に行ったり、もう一本別のレンズを試したりするための、極めて前向きでクリエイティブな戦略だ。

誰かが手放したその機材は、あなたの手で新しい傑作を生み出すのを待っている。