シャッターを切った瞬間、そのデータはこの世に一つしかない唯一無二の存在になる。
だが、デジタルデータは儚い。
SDカードの破損、HDDの故障、あるいは予期せぬ災害。
データが消えるとき、それは一瞬だ。
失われたデータは二度と戻らない。
クリエイターにとって、過去のデータは自身の歴史そのものであり、将来の資産だ。
カメラやレンズには何十万もかけるのに、データの保存には無頓着な人が多すぎる。
機材は買い直せるが、データは買い直せない。
今回は、最悪の事態を防ぐための世界標準、バックアップの3-2-1ルールと、僕が実践している具体的なワークフローを共有しよう。
鉄壁の「3-2-1ルール」を呼吸するように実践せよ
バックアップには黄金律がある。
米国の写真家協会なども推奨する3-2-1ルールだ。
内容はシンプルだが、極めて堅牢なロジックに基づいている。
- データはコピーして3つ持つこと(元データ + コピー2つ)。
- 2種類の異なるメディアで保存すること(PCの内蔵ストレージと外付けSSDなど)。
- そのうち1つは別の場所に置くこと(クラウドや実家など)。
PCの中だけにデータを入れて安心していないだろうか。
PCが壊れたら終わりだ。
「外付けHDDにコピーしたから大丈夫?」
もし自宅が火事になったり、泥棒に入られたりしたら、PCもHDDも同時に失うことになる。
だからこそ、物理的に離れた場所にデータを置くオフサイトバックアップが不可欠なのだ。
この3つの条件を満たして初めて、データは守られたと言える。
面倒だと思うかもしれないが、これがプロの最低ラインだ。
Amazon Photosという名の最強の保険
3-2-1ルールの1を個人でクリアするための最強のツール、それがクラウドストレージだ。
しかし、高画素機のRAWデータは巨大で、通常のクラウドサービスではすぐに容量オーバーになるか、高額な追加料金が発生する。
そこで僕が猛烈に推奨するのがAmazon Photosだ。
Amazonプライム会員であれば、なんと写真は容量無制限で保存できる。
しかも、JPEGだけでなく、各社カメラメーカーのRAWデータも対象だ。
一部例外はあるが主要メーカーはほぼ対応している。
ハッキリ言って異常なサービスであり、クリエイターへの福音だ。
僕は撮影から帰ったら、まずSSDにデータを移し、その裏でAmazon Photosへのアップロードを走らせる。
これで、万が一自宅の機材が全て物理的に破壊されたとしても、クラウド上にオリジナルデータが残り続ける。
プライム会員費だけでこの安心感が手に入るなら、使わない手はない。
バックアップというより、もはやインフラだ。
SSDの限界と、NASという要塞を築くタイミング
制作の初期段階では、PCとポータブルSSDの運用で事足りるだろう。
しかし、長く活動を続けていると、SSDの数が5個、10個と増えていき、あの写真はどのドライブに入れたっけ?という事態に陥る。
いわゆるSSD迷子だ。
また、いちいちケーブルを繋ぎ変えるのもスマートではない。
このストレスを感じ始めたときが、NAS導入のタイミングだ。
NASとは、ざっくり言えば自宅に設置する自分専用のクラウドサーバーだ。
Wi-Fi経由で家中のどこからでもアクセスでき、複数のHDDを組み合わせて大容量の保管庫を作れる。
NASの利点は利便性だけではない。
RAID(レイド)という機能を使えば、内蔵されたHDDの1つが故障しても、データを復元できる仕組みを構築できる。
機材故障によるデータロスのリスクを劇的に下げられるのだ。
初期投資は数万円〜十数万円とかかるが、散らばった過去の資産を一元管理し、堅牢に守るための要塞だと思えば安いものだ。
データ管理にお金を惜しんではいけない。
それは保険であり、未来の自分への投資につながる。
データが消えてから泣いても遅い。
今すぐ、あなたのバックアップ体制を見直してみてほしい。


