撮影から戻り、セレクト作業を終える。
数枚のベストショットが選ばれ、残りの数百枚はHDDの奥底へ格納される。
このボツ写真、あなたはどうしているだろうか。
もし永久に開かれないフォルダに塩漬けにしているなら、それは現金をドブに捨てているのと同じだ。
Adobe StockやPIXTAなどのストックフォトサービスは、プロだけの市場ではない。
僕たちクリエイターにとって、Bカットを収益化するための巨大な受け皿だ。
チリも積もればレンズ代になる。
今回は、HDDの肥やしを不労所得に変えるための、写真の再利用術と販売戦略について話そう。
人物不在こそが最強の武器になる
ストックフォトというと、笑顔のモデルが握手しているようなビジネス写真を思い浮かべるかもしれない。
だが、個人クリエイターが狙うべきはそこではない。
モデルリリースが不要な、人物が映っていない風景や素材こそが狙い目だ。
なぜなら、権利関係がクリアで、登録の手間が圧倒的に少ないからだ。
例えば、旅行先で撮った何気ない路地の壁、美しい空のグラデーション、あるいはカフェのテーブルに落ちた木漏れ日。
これらは作品としては弱くても、素材としての需要は高い。
デザイナーや企業の広報担当者は、常に文字を乗せやすい背景や雰囲気だけを伝えるイメージカットを探している。
主役がいない写真は、誰かのデザインの背景になれるポテンシャルを持っているのだ。
顔が写っていない後ろ姿や、手元だけのカットもいい。
特定の色がつかない匿名性こそが、素材としての価値を高める。
撮影よりもタグ付けに魂を込めろ
どれだけ良い写真をアップロードしても、検索されなければその写真は存在しないのと同じだ。
ストックフォトで稼げるかどうかは、写真のクオリティ以上にタグ付けにかかっている。
ここは正直、地味で退屈な作業だが、ここが収益の分かれ目になる。
単に空青だけでは埋もれてしまう。
検索する人がどんな言葉を打ち込むか、想像力を働かせるのだ。
爽やか・夏・希望・コピースペースあり・テクスチャ。
具体的な情報だけでなく、抽象的なイメージワードを網羅する。
英語圏のAdobe Stockを狙うなら、英語タグも意識する必要がある。
最初は面倒だが、一度登録してしまえば、あとは24時間365日、そのタグが営業マンとなって世界中のバイヤーに写真を売り込んでくれる。
作品を捨てて部品に徹する勇気
最後に、最も重要なマインドセットの話をする。
ストックフォトで売れる写真は、往々にしてあなたが自信作だと思っている写真ではない。
コントラストが強すぎたり、作家性が強すぎたりする写真は、使い勝手が悪いからだ。
売れるのは癖のない写真だ。
水平垂直がきっちり取れていて、適正露出で、ノイズが少ない。
そして、文字を入れるための余白が確保されていること。
クリエイターとしての自我を殺し、あくまでデザイナーが使うための部品を提供するという意識を持つことだ。
あえて少し引きで撮っておく、現像で色をいじりすぎない。
この寸止めの感覚が、ダウンロード数を伸ばすコツだ。
HDDに眠っている写真を、作品としてではなく部品として見直してみよう。
そこには、次のレンズを買うための埋蔵金がきっと眠っているはずだ。
